「ワカメの民法が試験科目の資格試験」紹介シリーズ。今回は、管理業務主任者試験について解説します。
管理業務主任者とは?
「管理業務主任者」とは、マンション管理業者が管理組合等に対して管理委託契約に関する重要事項の説明や管理事務報告を行う際に必要な国家資格者のことです。
マンション管理士は、管理組合側の立場に立って管理組合やマンションの住人からの相談に対して、マンション管理に関する専門知識をもって助言やアドバイスをおこないます。
それに対して管理業務主任者は、マンション管理会社に所属して管理業者の立場から管理組合等に対して管理委託契約に関する重要事項の説明や管理状況の調査・報告をおこないます。
以下の業務は管理業務主任者がしなくてはなりません。
- 委託契約に関する重要事項説明および重要事項説明書への記名押印
- 管理委託契約書への記名押印
- 管理事務の報告
マンション管理会社は、事務所ごとに、30の管理組合の事務を委託されるごとに1名の割合で、成年者である専任の管理業務主任者を置く義務があります。(マンションの管理の適正化の推進に関する法律第56条、施行規則第61条)
ただし、人の居住の用に供する独立部分が5以下(≒5部屋以下の居住用マンション)の管理組合のみの委託を受けて行う管理事務を、その業務とする事務所については、成年者である専任の管理業務主任者を置く必要はありません。(マンションの管理の適正化の推進に関する法律第56条、施行規則第62条)
管理業務主任者試験の内容
管理業務主任者の試験問題は、5つの分野から50問出題されます。
試験形式は、4つの選択肢の中から一つを選ぶ「四肢択一式」のマークシート方式です。また「マンション管理士試験」の合格者は、申し込み時の申請により管理業務主任者試験問題の一部が免除されます。
出題の根拠となる 法令等の範囲
マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第64条で規定されている項目 | 想定される管理業務主任者試験の内容 |
(1)管理事務の委託契約に関すること | 民法(「契約」及び契約の特別な類型としての「委託契約」を締結する観点から必要なもの)、マンション標準管理委託契約書等 |
(2)管理組合の会計の収入及び支出の調定並びに出納に関すること | 簿記、財務諸表論 等 |
(3)建物及び附属施設の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整に関すること | 建築物の構造及び概要、建築物に使用されている主な材料の概要、建築物の部位の名称等、建築設備の概要、建築物の維持保全に関する知識及びその関係法令(建築基準法、水道法等)、建築物の劣化、修繕工事の内容及びその実施の手続きに関する事項等 |
(4)マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること | マンションの管理の適正化の推進に関する法律、マンション管理適正化指針 等 |
(5)上記(1)から(4)に掲げるもののほか管理事務の実施に関すること | 建物の区分所有等に関する法律(管理規約、集会に関すること等管理事務の実施を行うにつき必要なもの)等 |
試験日程・受験料
管理業務主任者試験の実施は1年に1回のみで、毎年12月の第1日曜日に実施されます。
試験日:筆記試験 12月の最初の日曜日
試験時間:13:00~15:00
受験資格:年齢、学歴等に関係なく、誰でも受験可。
受験料: 8,900円 (非課税)
受験申請受付期間:例年9月の1ヶ月間
試験科目:
①管理事務の委託契約に関すること
②管理組合の会計の収入及び支出の調定並びに出納に関すること
③建物及び附属設備の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整に関すること
④マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること
⑤上記①から④に掲げるもののほか管理事務の実施に関すること
試験の内容:マークシートによる多肢択一試験
合格基準:出題50問・50点満点、合格ラインは33~36点です。
受験者数・合格者数・合格率
過去10年の合格率は、例年20%台前半(20.1%~23.6)で推移しています。20%台の合格率は、国家資格の中では比較的高い合格率ですが、10人受けて2人だけしか合格出来ないので、合格するためにはしっかりと勉強して対策をする必要があります。尚、マンション管理士の平均合格率は8%程度です。
年度 | 申込(人) | 受験者(人) | 合格者(人) | 合格率(%)※対受験者 | 合格点 |
---|---|---|---|---|---|
21 | 24,890 | 21,113 | 4,329 | 20.5 | 34点 |
22 | 24,129 | 20,620 | 4,135 | 20.1 | 36点 |
23 | 24,376 | 20,625 | 4,278 | 20.7 | 35点 |
24 | 22,887 | 19,460 | 4,254 | 21.9 | 37点 |
25 | 22,052 | 18,852 | 4,241 | 22.5 | 32点 |
26 | 20,899 | 17,444 | 3,671 | 21.0 | 35点 |
27 | 20,317 | 17,021 | 4,053 | 23.6 | 34点 |
28 | 20,255 | 16,952 | 3,816 | 22.5 | 35点 |
29 | 20,098 | 16,950 | 3,679 | 21.7 | 36点 |
30 | 19,177 | 16,249 | 3,531 | 21.7 | 33点 |
R1 | 18,464 | 15,591 | 3,617 | 23.2 | 34点 |
R2 | 18,997 | 15,667 |
マンション管理士と同じく、管理業務主任者を目指すのに年齢は関係ありません。令和元度の合格者の平均年齢は42.3歳でした。受験者には50代・60代の方も沢山います。十分な社会経験を積んだ後に、新たなステップとして管理業務主任者を目指す方が多いようです。
また、試験範囲がほぼ同じなので、マンション管理士を取得して、管理業務主任者とのダブル取得を目指す受験生も多いのが特徴です。マンション管理士試験の合格者は、管理業務主任者試験問題の一部(マンション管理適正化法の5問)が免除されます。
※管理業務主任者試験の合格者は、マンション管理士試験の一部(マンション管理適正化法の5問)が免除されます。
管理業務主任者試験を受ける方へ
平成12年12月1日に成立した『マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)』に基づいて、マンション管理士、管理業務主任者という国家資格が誕生しました。
マンションの歴史は50年以上に及び、日本における現在のマンションの居住人口は1,500万人を超えています。マンションの高経年化・居住者の高齢化への対策は、近年日本の大きな課題となっています。マンション管理を適切におこなえるマンション管理士・管理業務主任者は、今後ますます社会からのニーズが高まるでしょう。またこの2つの資格は実生活に役立つ資格としても魅力的です。
マンション管理士・管理業務主任者資格のダブル資格取得を目指してみませんか?
管理業務主任者試験に合格するには?
管理業務主任者の合格率は例年20%台前半と高く、試験科目もマンション管理に関するものに限定されているため、独学で合格される方も少なくないようです。独学用のテキストや問題集も沢山発売されています。
「独学での勉強は難しい」「効率的に短期合格したい」という方には、予備校の講座を利用するのがおすすめです。
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