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司法書士試験は法律系の国家資格の中でも最難関の試験だと言われています。多くの受験生は予備校に通ったり通信講座を受講して合格されています。全くの独学で合格される方も中にはいらっしゃいますが、短期間で合格するには予備校や通信講座のカリキュラムに沿って勉強するのが良いと思います。
「3000時間」の勉強が必要だと言われている理由
「司法書士 平均学習時間」で検索してみると、司法書士試験に合格するまでに必要な勉強時間を3000時間としているサイトが多くヒットします。3000時間勉強しようと思うと、1日10時間勉強して300日(1年弱)、1日3時間勉強して1000日(3年弱)の期間勉強する必要があります。
3000時間もの勉強時間が必要とされているのは、司法書士試験は試験科目が11科目もあり出題範囲が広く、求められる知識が細かい点にあります。全くの初学者が講義を受けて復習し、過去問を解いて、択一式に加えて記述式の勉強をしようと思うと、それだけの時間が必要になってきます。
ただし、実際には2000時間程度で合格される方もいらっしゃいますし、3000時間以上の勉強をして合格される方もいらっしゃいます。司法書士試験に合格するには、多くの合格者は3000時間程度の勉強をして合格しているという心構えで勉強を始めるようにしてください。
・合格までの勉強時間はひとそれぞれ。3000時間は、あくまで目安。
勉強の開始時期
司法書士試験は、毎年7月の第1日曜日に実施されます。通学予備校の多くは、春と秋に講座が開講されます。ただ、講座の途中で申し込んでも、ほぼ全ての講座でWebやDVDで追っかけで講義を受けることが出来るので、思い立った時から勉強を始めることができます。
1年の勉強で合格しようと思うと、前年の7月から、1年半で合格しようと思うと、前年の1月から勉強を開始することになります。勉強をいつ開始しても早くも遅くもないので、ご自身の環境に合わせて学習開始時期を決めてください。
・勉強の開始は、思い立った時が吉日。
司法書士講座の予備校選びは『講師との相性』が大事
通学予備校では、LEC、TAC、伊藤塾、辰巳法律研究所の司法書士講座が人気です。どの予備校の講座の内容も、合格するのに必要十分な充実したカリキュラムになっていますので、ご自身が良いと思った予備校で受講しましょう。
ここで重要なのは、「講師との相性」です。司法書士試験の入門講座の多くは、1年~1年半もの長期間続けて受講するものになります。テキストや付属の問題集が充実していても、講師と合わなければ受講することが苦痛になります。予備校主催の無料の公開講座や、Youtube等の動画サイトで講師のサンプル講義を視聴できますので、講座を申し込む前には、必ず申し込もうと思う講師のサンプル講義を受講してから申し込むようにしましょう。
通信予備校では『東京法経学院(通学講座もあり)』、『資格スクエア』、『クレアール』、『スタディング』、『アガルート』を受講されている方が多いです。
※上記の予備校名をクリックすると、各予備校の司法書士講座のページが開きます。
通信予備校で受講する一番のメリットは、価格の安さです。(先に挙げた通学予備校の講座でも、通学講座に申し込むとWeb受講できるようになっていますので、自宅で受講できること自体は通信予備校独自のメリットではなくなっています。)
講義・テキスト・付属の問題集等、今の通信予備校の講座は通学予備校の講座と比べても遜色のないものになっています。働いていて通学出来ない、予備校の場所が遠いので物理的に通えないと言った方は、通信予備校の講座を受講することも検討してみてくださいね。
・講座選びで重要なのは、講師との相性。
・通学予備校の講座でも、WebやDVDを併用して受講できる。
・通信予備校の講座のメリットは、価格が安いこと。
↓の記事で、各予備校の特徴をまとめましたので、是非ご参考ください。
未受講の講義をためない
予備校の講座は1年や1年半でカリキュラムが組まれています。毎週3回3時間であったり、土日に集中して講座が開かれたりと、その講座によって講義のペースは様々です。
ここで重要なのは、講義はためずに必ず公開された時に受けることです。「明日でもいいや」と思って講義を受けずにいると、それがクセになってどんどんと受講するのが遅れていきます。未受講の講義が増えると、未受講の講義を消化するために”ただ見るだけ”になったり、たまった講義に嫌気が差して、最悪の場合、受講自体をやめてしまうかもしれません。
予備校のカリキュラムは、合格するのに一番良い方法で組まれています。折角予備校の講座を受講しているのですから、予備校の提供するカリキュラムに則って学習するようにしましょう。
・講義は必ず、その時に受講する。未受講の講義をためない。
講義の復習の仕方
講義を集中して受けるのはもちろんですが、講義を受け終わったあとの復習の仕方で理解度や記憶への定着度が全く変わってきます。
講義を受けただけで理解した気になっている人が見受けられますが、講義を1回受けただけで内容を理解して問題が解けるようになる人は、ごく一部です。講義を受けた後に講義の範囲の問題を解いてみると、自分が思っている以上に解けないものです。
講義を受けた後には、必ずその講義の内容を復習をするようにしましょう。講義の復習は、「講義の範囲のテキストを、もう一度自分で始めから終わりまで読む」か、「Web等で講義を2倍速で聴きなおす」ことがおすすめです。
テキストを自分で読んでみると、講師が説明していた内容を自分の頭の中で再現することができます。また、2倍速で聴きなおすことで、講義の内容を網羅的に復習することができます。
・講義を受けた後は、自分でテキストを読むか、2倍速で講義を聴きなおす。
講義を受けたあとは、必ず問題を解く
講義を受けて、その講義の内容を復習したあとには、必ずその講義の範囲の問題を解くようにしましょう。問題は、予備校の講座に付属の基本問題集でも過去問でも構いません。
問題を解くことで、頭の中にどれだけ講義の内容が入っていて、それが”使える知識”になっているかを把握することができます。問題が解けなくても悲観する必要はありません。なぜなら、初めから正解できる受験生は稀で、多くの受験生は正解することができないからです。何度も繰り返して同じ問題を解くことで、次第に正答率があがっていきます。
問題を解くことを苦痛に感じる方は、問題を読んで、自分では考えずにすぐに答えを見ても構いません。講義やテキストの内容が問題ではどう問われるかを知るだけでも学習効果はあります。大切なのは、講義やテキストでのインプットの勉強と、問題にあたるアウトプットの勉強を短いスパンで繰り返し、理解を深めて記憶に定着させることです。
・講義の範囲の問題を、講義を受けたあとに必ず解くようにする。
・始めは、問題を解かずに、いきなり答えを見ても良い。
択一式と記述式の勉強する順番
司法書士試験の筆記試験には、択一式試験と記述式試験があります。どちらにも基準点(いわゆる足切点)が設定されていますので、バランスよく学習し、得点することが必要になります。
記述式の対策は、ひな型を覚えることを除いて、問題を解くのは択一式の勉強がある程度進んでから取り組むようにしましょう。なぜなら記述式の問題は、択一式で問われる知識を前提としているからです。択一式の内容が理解できると、記述式の問題を解いた時の正答率は格段にあがります。逆に言うと、択一式の内容が理解できていないままに記述式の問題を解いても問題は解けません。
問題を解くのは択一式の勉強が進んでからですが、記述式のひな型を覚えることは択一式の勉強と並行してすることができます。なぜなら、ひな型は決まった形式を単に覚えていく作業的な要素が大きいからです。もちろんひな型を覚えるためには、その前提となる知識が必要ですが、それは講義で学ぶことができます。講義を受けた後に、その講義の内容に該当するひな型を見て覚えていきましょう。
・記述式の勉強は、択一式の勉強がある程度進んでから。
・ひな型を覚えるのは、択一式の勉強と並行して。
具体的な択一式の勉強方法
①講義を受ける→②講義の復習をする→③講義の範囲の問題を解くことはこれまでにお話ししました。
③の講義の範囲の問題を解いたあとには、必ず問題に該当するテキストのページを確認するようにしましょう。テキストの内容と問題をリンクさせることはとても大切です。リンクさせることで、テキストを読んだ時に「この論点は、問題になった時にこういう風に問われるな」とテキストを読みながら問題を思い出すことができますし、問題を解いた時に「これはテキストではこう説明されていたな」とテキストの内容を頭の中で再現して解答することができるようになります。
よく問題を解いた後にテキストに戻らずに、解説だけを読んで終わる人がいますが、それはあまりおすすめできません。なぜなら、解説だけを読んでいても、解説はその問題に対しての解説なので、同じ論点でも少し問題の問われ方を変えられると、解けなくなるからです。問題を解く時にベースとするのはテキスト記載の内容です。テキストの内容を元に、問題で問われた時に、脳内にあるテキストの内容を引っ張り出してくるイメージで問題を解くようにしましょう。テキストの内容を本質的に理解して頭に残しておくと、問われ方が変わっても正解することができます。
あとは、同じ問題集を繰り返し何度も解くことです。繰り返し解くことで、解けなかった問題も解けるようになります。直前期(※)を除いて、簡単に解ける問題も何度も解くようにしましょう。司法書士試験は科目数が多いため、その時に解けている問題でも、他の科目の勉強をしてその簡単だと思っていた問題に戻ってきた時に、「あれ?これ簡単だと思っていたのに解けない」と言うことが結構な頻度で起こります。簡単だと思っていることでも、記憶に刷り込むように何度も繰り返し解いて、脳内に内容を残していきましょう。
※試験の直前期は時間が無いので、解ける問題は切り捨てて、苦手な分野や暗記する分野に特化して解くようにしましょう。
・問題を解いた後は、必ずテキストに戻って確認する。
・簡単だと思っている問題でも、何度も繰り返して解く。
具体的な記述式の勉強方法
記述式の問題を解けるようになるには、まず択一式の知識を固め、ひな型を覚えることが大前提となります。択一式の知識がないと、ひな型を覚えていてもひな型は使えないので意味がありません。択一式の知識があっても、ひな型を覚えていないと解答用紙に解答を書くことができません。
記述式の問題を解くには、「①記述式の問題で問われている事例を整理し、問われている内容の実体を掴む」→「②実体が掴めたら、解答すべき内容を検討する」→「③解答すべき内容を決めたら、最後にひな型をベースにした解答を解答用紙に書き込む」必要があります。いずれの過程が欠けても問題を解くことはできません。
①では、問題を沢山解いて、自分なりの事例を把握して整理する方法を作ることが大事です。②では、解答を瞬時に構成する判断力を鍛えることが必要です。③では、①②を踏まえて、確かなひな型の知識を基に素早く解答を書けるようにしなければなりません。
予備校の入門講義では、記述式の解き方も教えてくれます。記述式試験のある午後試験は、時間がとにかくタイトです。迷っている暇はありません。予備校で教えて貰った解き方をベースにして、上記の①~③の過程を意識しながら、沢山の問題を解いて反射的に解答できるまでにしておきましょう。
・記述式問題が解くには、択一式の知識を固めて、ひな型を覚えるのが大前提。
・沢山の問題を解いて、反射的に解答できるまでにする。
過去問・問題集の選び方
基本のテキストは、予備校で提供されるテキストを使用してください。インプット教材であるテキストを、予備校のテキスト以外に増やすことはおすすめしません。1冊のテキストに知識を集約する方が効率が良いからです。
予備校の講座を受講していても、過去問・問題集は自分で選ぶことになります。下の記事で私がおすすめする過去問・問題集を挙げていますので、良かったら参考にしてくださいね。
兼業でも合格できるのか?
働きながらの勉強を考えている方、又は勉強されている方は、仕事をしながら兼業での勉強で本当に合格できるのだろうか?という不安を抱えていると思います。
兼業受験生でも、必ず合格できます。事実、私は仕事をしながら勉強を続けて合格することができましたし、私の周りの同期の方も、専業受験生より兼業受験生で合格した方が多いです。
兼業受験生は専業受験生に比べて不利だと思われがちですが、果たして本当にそうでしょうか?専業受験生であることの一番のメリットは、勉強にあてられる可処分時間が多くあることにあります。短期間で合格しようと思えば、可処分時間を多くとれる専業受験生が有利でしょう。しかし、兼業受験生には、経済的安定であったり、社会的地位であったり、専業受験生にはないメリットがあります。安定した生活は経済的にだけでなく、精神的にも受験勉強する上で大きなアドバンテージになります。
可処分時間だけを見て、兼業受験生は不利だと思うことは間違いです。仕事をしている時間以外の時間で、ムダにしている時間をなくし、集中して勉強することで学習効率もあがります。兼業受験生だから合格できないということは絶対にないです。
・専業受験生にも兼業受験生にもそれぞれのメリットがある。
・兼業受験生だからと言って合格できないことは絶対にない。
さいごに
司法書士試験は本当に難しい試験です。合格率は毎年3~4%です。この合格率の低さからも難関試験であることは間違いありません。合格するには沢山のことを犠牲にして勉強しなくてはいけませんが、正しい勉強方法で努力を怠らずに継続して勉強を続けることで、かならず合格できます。
勉強する量のあまりの多さに嫌になったり、問題が解けなくて挫折しそうになるかもしれません。でも諦めてしまったら、そこで終わりです。受験生活は、先の見えない暗いトンネルの中を延々と進んでいる気持ちになります。事実、私がそうでした。「このまま勉強を続けて、本当に合格できるのだろうか」常にそんな不安を抱えながら勉強していました。
結果が出るまでは、そういった気持ちになるのは当然のことだと思います。誰しもが抱えている不安です。私がこのサイトを始めたのは、自分が受験生の時に、そういった不安から精神的にとてもしんどかったので、「受験生の不安が少しでも軽減できるために役に立てることがないか」と思ったのがきっかけです。苦しい受験生活を乗り越えたあとには、必ずこれまでと違った明るい未来が待っています。