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今回の「のり男の合格体験記紹介」は、3回目の司法書士試験で合格したヒラメさん(仮名)の合格体験記です。
ヒラメさん(42歳)は、不動産賃貸収入を得ながら司法書士試験合格を目指し、見事3回目の試験で平成30年度の司法書士試験に合格されました。
以下、ヒラメさんのインタビュー記事です。
司法書士試験を目指したきっかけ
私は現在、アパートを所有していて、その賃貸収入で生活をしています。会社員として働いていた時に「将来は不労所得で生活したい」という思いが強くなり、せっせと貯金して収益物件となるアパートを購入しました。
アパートを購入する時に、初めて司法書士に出会いました。それまで司法書士という職業があることを知ってはいたのですが、実際に司法書士と会ったのは、その時が初めてでした。
司法書士について詳しく知らなかった私の司法書士についての第一印象は、こんな感じでした(笑)。そこから司法書士について興味を持つようになり、自分で司法書士について調べたり、アパート購入の時にお世話になった宅建士に聞いたりして司法書士の仕事を知ることになりました。
司法書士は不動産を購入する時などの人が重要な財産を築く時のサポートをおこなったり、成年後見制度により人の財産の管理をしたりします。人生における重要な局面や、市民の生活に密接に関係した仕事をする職業だというところに、とても魅力を感じました。
こういった経緯から司法書士に興味を持つことになり、司法書士を目指して受験勉強を始めることにしました。
合格までの道のり
1年目
1年目は、予備校に通って集中して勉強し、1発合格を目指して勉強しました。
予備校までは片道1時間半の道のりだったので、ライブ受講にするかネット受講にするか迷いましたが、決まった時間に講義に出席して、まわりの受験生の刺激を肌身で感じながら勉強する方が、モチベーションを継続して勉強できるような気がしたので、ライブ受講をすることにしました。
勉強を始めた当時は、私はフルタイムで働いている方よりは時間がある方だと思ったので、予備校に通って1年間みっちり勉強すれば、合格率3%の試験であっても合格できると思っていました。
でも講義が始まって数か月経った頃には、講義の内容が全然理解出来ておらず、講義を受講するだけでもいっぱいいっぱいの状態になりました。講義を受けた後には、予備校で配布された基礎問題集や過去問題集を解くようにしていたのですが、講義の内容を理解していないので、”勘”だったり”なんとなく”で問題を解くような感じになっていて、全然身になっていませんでした。
それまでの甘えた気持ちを反省して、気持ちを切り替えて、可処分時間全てを勉強時間にあてる生活にしました。これまでに受講した講義をもう一度全て見返し、見返した後には一題一題「何故そうなるのか?」を考えながら、丁寧に問題集を解くようにしました。
択一式試験の勉強と並行して記述式試験の勉強もしていました。記述式を解くには雛形を覚えたり答案構成の方法を習得したりしないといけませんが、解答するには実体的な内容が分かっていないと解答することが出来ません。択一式試験で得点できるようになるということは、実体的な知識が身についているということです。記述式試験の問題は、択一式の内容が分かってくると、自然と記述式問題も解けるようになっていった感覚がありました。
1年目の本試験の前に受けた数回の模試では、合格判定こそ出なかったものの、安定して(合格判定まであと少しの)B判定が出ていました。
そんな気持ちで直前期に猛勉強して本試験に臨みましたが、結果は不合格でした。あらゆることを我慢して、本当に勉強だけに専念した生活を送って受けた試験だったので、不合格だという結果を知った時には、ショックで数日間ご飯が喉を通らず、眠ることも出来ませんでした。
2年目
1年目の不合格通知を受けた後、しばらくは勉強する気がおきませんでしたが、ここで諦めたら何も残らないと思い、気持ちを奮い立たせて勉強を再開させました。
1年目である程度の基礎は出来ていたと思っていたので、2年目は、年明けからの答練と模試だけを予備校で受けることにして、中上級講座などの予備校のインプット講座を受講はしませんでした。
しばらくは順調に勉強を続けていたのですが、2年目の冬に、母が突然倒れました。幸い命に別状はなかったのですが、介護と通院が必要な生活になりました。
私が一番大切にしているものは、「家族」です。勉強はいつだってできる。今は母を支えることが私にとって一番大事なことだと思い、勉強は中断して、母の介護を中心とした生活を送ることにしました。
母が倒れてから半年くらい経った頃には、母の体もだいぶ良くなり、1人である程度のことは出来るようになりました。
「迷惑かけてごめんね。本当は勉強したかったよね。」
ある時、母からこんな言葉をかけられました。なぜだか分かりませんが、この言葉を聞いて、涙が出てきました。迷惑だなんて思ったことはないのに…。勉強よりも母の存在の方が比べるまでもなく大事なのに…。でも私が勉強しないことで、母が自分の存在が負担になっていると思っているのではないか?と思いもしました。
母の言葉がきっかけではありましたが、司法書士になるという自分の夢を諦めることが出来なかった自分もいたので、また勉強を再開することにしました。
3年目
しばらく勉強を中断していたこともあって、だいぶ基礎知識も抜け落ちてしまっていたので、また予備校の入門講座をイチから受講することにしました。
知識は抜けていましたが、一度勉強した内容であることもあって、比較的すぐに勉強を軌道に乗せることができました。
年内は講義を受けてテキストを読んだり雛形を覚えたりなどのインプットの学習を中心におこないました。年明けからは過去問を解く時間を多くとり、講義と並行して答練と模試を受けるなどのアウトプット学習を中心とした勉強をしました。
直前期に受けた模試では、念願の合格判定を貰うこともできました。
試験を受ける前は、こんな気持ちでした。
合格年に使用したテキスト、問題集
択一式過去問は「オートマ」
1年目と合格した年に使っていた択一の問題集は、『司法書士 山本浩司のオートマ過去問』です。
『オートマ過去問』は、合格に必要な問題だけがコンパクトに収録されています。私は過去問は何度も解いて理解していくタイプなので、『オートマ過去問』の問題の収録量は、何度も回すのにちょうどいい量でした。
あと、解説が要点だけをバシっと書いてくれている点も良かったです。解説があまりに長いと、解説を読んでいる途中で嫌になってしまいます(笑)。
記述式対策も「オートマ」
1年目も合格した年も、記述式対策の問題集は『オートマ記述式』を使っていました。
『オートマ記述式』はいくつもの小問題が収録されています。短い問題文や事例の中に、落とし穴がいくつもあります。注意力を欠くと、必ずハマってしまう落とし穴です(笑)。私は何度もその落とし穴にハマりました。『オートマ記述式』を解くことで、記述式試験を解くための考え方を身に着けることが出来ましたし、注意力を養うことも出来ました。
また、小問なので、ちょっとした空き時間に解けるところも良かったです。
勉強場所
勉強場所は、1年目も合格年も、主には自宅でした。予備校に自習室がありましたが、片道1時間半の道のりは遠かったので、利用はあまりしませんでした。
勉強時間
合格年は、最低でも1日8時間は勉強していたように記憶しています。6月に入ってからの直前期は、12時間くらいはしていました。
直前期は、テキストの読み込みをして、過去問を繰り返して解くという王道の勉強をしていました。
試験の当日は、どんな感じ?
直前期に猛勉強をし、模試でも合格判定が出たこともあって、「今年は絶対に合格できる」という気持ちで受験しました。
試験が始まった時はさすがに緊張しましたが、そういった緊張もすぐに解かれて、問題を解くうちに調子に乗ってきたことを感じながら問題を解くことが出来ました。午前試験が終わった時には手ごたえを感じていたので「今年は合格できる」という気持ちに変わりはありませんでした。
午前試験がうまくいったので、午後試験もさほど緊張することなく始めることができました。しかし、午後の択一試験で分からない問題が立て続けに出たこともあって、少し調子を崩してしまいました。焦りを抱えながら記述式試験を解いてしまったこともあり、記述式試験も本来の調子が出ることなく解いてしまいました。
午後試験が終わった後には、こんな気持ちでした。当日に自己採点をしたのですが、やはり午後の点数が悪く、基準点ギリギリか、基準点を超えていても総合点で不合格だという気持ちでいました。
自己採点してから数日間は、絶望感に打ちひしがれていました。
合格発表の時は、どんな感じ?
不合格を確信していたので、試験が終わってから、予備校の中上級講座を申し込んで、講義を受けていました。気持ちは来年度の試験に向いていました。
どうせ不合格だろうと思っていたので、合格発表当日に法務局の合格発表の掲示板を見に行くこともなく、ネットの合格発表さえ見ませんでした。
合格発表から数日後、なんと合格通知が届きました。
絶対に落ちていると思っていたので、始めは合格しているという事実を信じることが出来ませんでした。午後の択一は基準点ギリギリだったものの、午前の択一式試験と、午後の記述式試験の点数で上乗せ点を取ることが出きていて、ギリギリ合格点に届いていました。
しばらくは現実を受け入れることが出来なかったのですが、母に報告して「おめでとう」という言葉をかけられた時に、ようやく合格したんだという喜びを感じました。
これから司法書士試験の合格を目指す方へ
司法書士試験は以前に比べて合格率が上がっていますが、それでも合格率4%前後の難しい試験です。100人受けて4人しか合格することができません。でも、それだけ難しい試験に合格して取得する資格だからこそ、司法書士は価値のある資格だと思います。
司法書士という難関資格を取得しようと思った時点で、その人には試験に合格する素養があると思います。あとは合格するまで本気で勉強できるか、諦めずに勉強を続けることが出来るかだけだと思います。
努力は裏切りません。難しいと言われる試験であっても、努力を続けていると、必ず結果はついてきます。受験勉強に困難はつきものですが、ご自身の夢を叶えるためにも合格するまで諦めずに勉強を続けて下さい。応援しています。
インタビューを終えて
今回は、平成30年度の司法書士試験に3回目で見事合格されましたヒラメさんの合格体験記を紹介しました。
のり男の合格体験記シリーズでは、これからも色々な立場で資格試験に合格した方の体験記を紹介していきます。
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