改正民法

改正民法虎の巻~第4弾~相続人以外の親族の『特別寄与料請求権』

相続人以外の親族の「特別寄与請求権」
こんぶ先生
こんぶ先生
被相続人に子供がいた場合の相続人は、配偶者と第1順位の相続人である子です。しかし子の妻が義父母を療養看護していた場合でも、現行の法律では子の妻には相続権はありません。
のり男
のり男
へー、義理の娘になって献身的に尽くしても何も遺産を貰えないっていうのは理不尽に感じるなぁ。介護には精神的な負担や肉体的な負担だけでなく、金銭的な負担もあるだろうし。
ワカメちゃん
ワカメちゃん
療養看護によって被相続人の財産の維持又は増加について貢献したとして、寄与分が認められることはないのですか?
こんぶ先生
こんぶ先生
現行の法律では、寄与分が認められるのは相続人だけです。そもそも相続人ではない子の妻(義理の娘)には寄与分は認められません。
のり男
のり男
特別縁故者制度を使って相続財産の分与を受ければいんじゃないか?
こんぶ先生
こんぶ先生
内縁の妻等に認められる特別縁故者制度による相続財産の分与は、相続人が不存在であった場合にのみ使える制度です。相続人が存在している場合には使うことはできません。

このように、現行の法律では、高齢の義父母を介護していたとしても、子の妻(義理の娘)が義父母の相続人になることはありませんので、義父母にいくら療養看護に尽くしたとしても、子の妻が遺産を貰えることもありませんし、寄与分が認められることもありません。

しかし、現状を踏まえると、子の妻が実質的に介護をしている場合が多く、相続人であれば寄与分が認められるような行いをしていた子の妻が何も貰えないことが問題視されてきました。

そこで今回の改正では、『子の妻等の相続人以外の親族が、相続人に対して寄与分に相当する金銭の支払い請求権(=特別寄与料請求権)』を認めることになりました。

新民法1050条1項

被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人,相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定(相続人の欠格事由)に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は,相続の開始後,相続人に対し,特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。

 

のり男
のり男
被相続人の親族って具体的に誰のことだ?

相続人以外の親族とは、被相続人の6親等以内の血族、3親等以内の血族の配偶者等であり、内縁関係にある事実上の妻等は、相続人以外の親族にはあたりません。また、いくら懇意にしていても近所に住む赤の他人や、業務として介護をしていた介護士等には金銭請求権が認められることはありません。

こんぶ先生
こんぶ先生
親族の範囲については、こちらの記事でも紹介していますので、合わせて読んでみてくださいね。
あわせて読みたい
725条親族の範囲 条文解説
【民法725条】親族の範囲(わかりやすい条文解説) 民法725条 親族の範囲 725条 次に掲げる者は、親族とする。 一  六親等内の血族...

具体的にどうやって金銭請求するの?

相続人以外の親族に、寄与分相当の相続人への金銭請求権が認められることになりますが、相続人以外の親族は相続人ではないため、遺産を相続できるわけではありません。ですので、遺産分けに参加して遺産から直接寄与分を貰うのではなく、遺産を相続した相続人に金銭請求をすることになります。

寄与分の額は、まずは相続人と金銭請求をした相続人以外の親族の協議で決めます。協議がまとまらなかった場合は、家庭裁判所の審判で決めます。

ワカメちゃん
ワカメちゃん
寄与分の決め方は、相続人間の寄与分の決め方と同じですね。
こんぶ先生
こんぶ先生
そうですね。まずは当事者で協議をするのが原則です。

まとめ

現行民法では、子の妻が献身的に義父母の介護をしても金銭的請求権は認められていません。介護にはノータッチだった遠く離れて暮らしている夫の兄弟が遺産を相続することは、現行民法でも改正民法でも同じですが、改正民法では子の妻に相続人に対して金銭請求権が認められることになり、これまで不平等だった相続の規定が変更されることになりました。

今の日本の現状では、両親の介護は実の息子ではなく、息子の妻がするといった事例が多くみられます。親族の『特別寄与料請求権』は、多くの方にとって有用な規定になりそうですね。

こんぶ先生
こんぶ先生
以上、相続人以外の親族の『特別寄与料請求権』についての解説でした。
ワカメちゃん
ワカメちゃん
こんぶ先生!ありがとうございました。次回もお楽しみに!
あわせて読みたい
2018年記事ランキング改正民法・条文解説
【2018年】よく読まれた記事ランキングその1~改正民法・条文解説編~民法は、法を仕事にする方や法律系の資格試験を目指す方だけではなく、一般の方にとっても最も身近な法律です。民法は2020年に改正法の施行が...
あわせて読みたい
どうかわる?債権法:改正民法虎の巻
改正民法虎の巻~第1弾~いつどう変わる?債権法2020年4月1日から民法が変わります なぜ民法が改正されるの? 明治時代から比べると、社会も経済も私たちの生活も、随分と様変わ...
あわせて読みたい
「改正民法」虎の巻~第2弾~配偶者居住権
改正民法虎の巻~第2弾~配偶者居住権 2018年7月6日に改正民法の一環として「配偶者居住権」が参院本会議で可決・成立しました。配偶者居住権とは、“故...
あわせて読みたい
改正民法虎 瑕疵に代わる新語 契約不適合
改正民法虎の巻~第3弾~『瑕疵』に代わる新語『契約不適合』2020年4月以降、改正民法が施行されると『瑕疵担保責任』という言葉が条文からなくなります。でも瑕疵担保責任という言葉が条文から消えても...
あわせて読みたい
相続人以外の親族の「特別寄与請求権」
改正民法虎の巻~第4弾~相続人以外の親族の『特別寄与料請求権』 このように、現行の法律では、高齢の義父母を介護していたとしても、子の妻(義理の娘)が義父...
あわせて読みたい
改正民法 自筆証書遺言の法務局補完制度
改正民法虎の巻~第5弾~自筆証書遺言の法務局保管制度今回は、「自筆証書遺言の法務局保管制度」について学びます。 「法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成30年...
あわせて読みたい
改正民法 敷金
改正民法虎の巻~第6弾~賃貸借の『敷金』に関する取り扱い改正前民法においては、敷金に関する規定が存在しません。 実務においては判例をもとに、それぞれの解釈による曖昧な取り扱いをされてきた...
あわせて読みたい
改正民法 621条 原状回復
改正民法虎の巻~第7弾~第621条賃貸借の『原状回復』について 改正前民法においては、敷金と同様に、原状回復に関する法律上の規定はありません。 ...
あわせて読みたい
改正民法465条の2 個人根保証
改正民法虎の巻~第8弾~465条の2賃貸借契約における保証人の極度額設定の義務化(個人根保証)について2020年施行の改正民法において、個人が賃貸借契約の連帯保証人になる場合、保証人が負担する最大の限度額を書面等で定めていなければ無効、と...



行政書士試験ブログまとめサイト
にほんブログ村 資格ブログ 行政書士試験へ