民法9条 成年被後見人の法律行為とは?
第9条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
取り消すことができる成年被後見人の法律行為には、「財産上の行為」と「身分上の行為」があります。
財産上の行為とは、例えば、売買契約をして財産を得る行為などがあります。身分上の行為には、婚姻や協議上の離婚・遺言などがあります。
これらの法律行為については、原則として常に取り消すことができます。取消権者は、成年後見人と成年被後見人です。成年被後見人自身も、自分がした法律行為を取り消すことができます。
ただし、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」については、取消すことはできません。例えば、コンビニでお菓子を買ったり、ユ○クロで洋服を買ったり、電気代等の公共料金を支払ったりすることが、これらの行為に当たります。
民法10条 後見開始の審判の取消し
第10条 第7条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない。
第7条に規定する原因とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況のことです。事理弁識能力が上がった時には、後見開始原因が消滅したものと認められます。
後見開始原因が”消滅した”とは、事理弁識能力が完全に回復したのみでなく、保佐や補助に相当する程度まで能力が回復したことも含みます。
後見開始原因が消滅した時は、「家庭裁判所は~後見開始の審判を取り消さなければならない。」とされています。成年被後見人が能力を回復しても、家庭裁判所によって後見開始の審判が取り消されるまでは、尚、成年被後見人(=制限行為能力者)のままです。
後見開始の審判の取消しは、以下の者の家庭裁判所への請求によっておこないます。
- 本人
- 配偶者
- 四親等内の親族
- 後見人(未成年後見人及び成年後見人)
- 後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人)
- 検察官
また、成年被後見人が保佐又は補助相当となり、被保佐人又は被補助人となるときは、先に後見開始の審判を取り消した後に、保佐又は補助開始の審判を申し立てることになります。先に後見開始の審判を取り消すことで、保佐又は補助開始の審判の重複を回避するためです。
問題(穴埋め条文)
第9条 成年被後見人の法律行為は、( ① )ことができる。ただし、( ② )その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
第10条 第7条に規定する原因が消滅したときは、( ③ )は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない。
①取り消す ②日用品の購入 ③家庭裁判所
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