民法11条 保佐開始の審判
第11条 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第7条に規定する原因がある者については、この限りでない。
被保佐人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分で、家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた人のことをいいます。保佐人とは、被保佐人を保佐する人のことをいいます。
保佐開始の審判は、以下の者の請求によって、家庭裁判所が行います。
- 本人
- 配偶者
- 四親等内の親族
- 後見人・後見監督人
- 補助人・補助監督人
- 検察官
後見人・後見監督人が請求権者に入っているのは、成年被後見人の事理弁識能力が上がった時に、成年被後見人を被保佐人にするためです。
補助人・補助監督人が請求権者に入っているのは、被補助人の事理弁識能力が下がった時に、被補助人を被保佐人にするためです。
①精神上の障害により事理弁識能力が著しく不十分で、②請求権者が家庭裁判所に保佐開始の審判の請求をした場合、家庭裁判所は必ず保佐開始の審判をすることになります。
尚、本人以外の者が家庭裁判所へ保佐開始の審判を請求する場合、本人の同意は不要です。
民法12条 被保佐人及び保佐人
第12条 保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。
保佐開始の審判があれると、被保佐人には保佐人が付くことになります。保佐人は数人でも良く、法人でも良いです。成年後見人が数人でも法人でも良いのと同じですね。
代理権
被保佐人には、当然には代理権はありません。なぜなら、被保佐人は、成年被後見人と違って、事理弁識能力が著しく不十分であって、事理弁識能力を欠く常況にあるわけではないので、被保佐人がする全ての法律行為について当然に代理権を付すのは相当ではないからです。
被保佐人の代理権は、代理権付与の審判を経て得ることができます。代理権の範囲は、13条1項各号列挙行為に限りません。代理権付与の審判の請求ができるのは、以下の者です。
- 本人
- 配偶者
- 四親等内の親族
- 後見人・後見監督人
- 保佐人・保佐監督人
- 補助人・補助監督人
- 検察官
また、代理権付与の審判については、本人の同意が必要です。これには、保佐人の自己決定権を尊重する意図があります。
同意権・取消権・追認権
保佐人の同意権は、13条1項各号列挙行為と13条2項によって特に定められた行為についてあります。
取消権・追認権は、保佐人には当然にあります。取消権=事後の不同意、追認権=事後の同意です。同意権のあるところ、取消権と追認権も当然にあります。
問題(穴埋め条文)
第11条 精神上の障害により事理を弁識する能力が( ① )である者については、( ② )は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、( ③ )をすることができる。ただし、第7条に規定する原因がある者については、この限りでない。
第12条 保佐開始の審判を受けた者は、( ④ )とし、これに保佐人を付する。
①著しく不十分 ②家庭裁判所 ③保佐開始の審判 ④被保佐人
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