後期日程:3日目(1月24日(木))
後期日程の3日目のカリキュラムです。中央新人研修最終日です。
時間 | 研修名 |
9:30-10:00 | 受付 |
10:00-10:50(50分) | 倫理事例研究「登記事件」基本事例 |
10:50-11:10 | 休憩 |
11:00-12:10(70分) | 倫理事例研究「登記事件」基本事例 |
12:10-13:10 | 昼食 |
13:10-14:00(50分) | 倫理事例研究「登記事件」① |
14:00-14:40(40分) | 倫理事例研究「登記事件」② |
14:40-14:50 | 休憩 |
14:50-15:40(50分) | 倫理事例研究「登記事件」③ |
15:40-16:20(40分) | 倫理事例研究「登記事件」④ |
16:20-16:30 | 休憩 |
16:30-17:30(60分) | 倫理事例研究「まとめ」 |
17:30-17:40 | 倫理事例研究「民事訴訟事件」④ |
3日目は、2日目と同じく司法書士倫理に関する事例研究を、グループディスカッションを中心としたゼミナール形式で行いました。2日目は「民事訴訟事件」がテーマでしたが、3日目は「登記事件」がテーマでした。事例研究は、「1.課題の確認」「2.ディスカッション」「3.発表」「4.講師による解説」の順に行いました。
倫理事例研究「登記事件」基本事例1&2
1・2コマ目は、「売買登記」「相続登記」「抵当権抹消登記」業務をおこなうにあたって、業務上・倫理上で問題となる点についてディスカッションするというものでした。
まず始めに全員で事例の読み合わせをした後、それぞれの業務についての仕事の流れを確認しました。
売買登記
「売買登記」の業務の仕事の流れは、このような感じです。
売買登記(不動産の売買取引:立会の流れ) | |
1 | 事前準備 |
2 | 最新の登記情報の事前確認(立会当日) |
3 | 書類の確認作業(立会現場) |
4 | 人・物・意思の確認 |
5 | 決済宣言 |
6 | 登記識別情報の受け渡し方法の確認 |
7 | 報酬等の受領 |
8 | 決済終了 |
2の最新の登記情報の事前確認は前日にする場合もあるし、4の人・物・意思の確認は3の書類の確認作業の前にすることもあると、講師から注釈がありました。
どのフェーズも重要な仕事ですが、「売買登記」で一番重要なのは1の事前準備というのは、各グループで共通した認識でした。ここで8割がた仕事が完了すると言っても過言ではありません。事前準備がきちんと出来ていれば、決済はとてもスムーズに進みます。
事前準備では、売買契約書で対象物件や当事者の確認をしたり、登記簿謄本で売買契約書に記載している対象物件の面積に違いはないか、名変・住変の必要がないか等を確認します。
※名変は「氏名変更登記」、住変は「住所変更登記」のことです。
また、見積を作成して、取引業者や依頼者に伝えます。直接お金に関わることなので、登録免許税の算出を間違えてしまうと、後々トラブルになります。
物権に担保権がついている場合は、担保権抹消の義務者(多くは銀行や信用金庫等の金融機関)と、決済日当日に立会をするか、事前に抹消に必要な書類を確認できるかなどの打ち合わせをします。
この他にも細々と事前にすべきことは沢山ありますが、ひとつひとつをきっちりこなすことで、決済はとてもスムーズにいきます。
相続登記
「相続登記」の業務の仕事の流れは、このような感じです。
相続登記(相続登記受託後の流れ) | |
1 | 事前準備(相続関係の概略を把握) |
2 | 対象不動産の特定と最新の登記情報の確認 |
3 | 相続関係書類の確認作業(相続人の特定) |
4 | 遺言書の有無の確認 |
5 | 相続人による遺産分割協議と不動産取得者の確定 |
6 | 登記申請書類の確認と委任状の取得 |
7 | 登記識別情報の受け渡し方法の確認 |
8 | 報酬等の受領 |
9 | 登記申請 |
4の遺言書の有無の確認は、1の事前準備の段階ですることの方が多いかも?と講師がおっしゃっていました。
「相続登記」業務で重要なのは、依頼者の言うことをそのまま信じて業務を進めないことです。依頼者の把握していない公正証書遺言書があったり、戸籍を収集してみると、依頼者から聞いていた以外の相続人(例えば、依頼者の知らない兄弟)が存在したりすることもあります。ちゃんと自分で確かめながら、業務を進める必要があります。
また、売買登記のように、決済日が決まっていないからといって、業務をのんびりと進めてしまうと、その間に相続人が亡くなってしまい、二次相続が起こる可能性もあります。相続登記に限らず、依頼された案件は迅速に進めなければいけません。
抵当権抹消登記
「抵当権抹消登記」の業務の仕事の流れは、このような感じです。
抵当権抹消登記(一般的な抵当権抹消登記の流れ) | |
1 | 書類の受領 |
2 | 登記情報の確認 |
3 | 人・物・意思の確認 |
4 | 登記申請 |
抵当権抹消登記は、本人確認が疎かになってしまう危険性を孕んでいる「とても怖い登記業務」と講師がおっしゃっていたのが印象的でした。本人確認をせず、銀行から預かった書類のみで登記申請をしてしまうなどは論外とのことでした。
倫理事例研究「登記事件」①~④
3~6コマ目は、4つのケースについての倫理事例研究でした。ここでは、目的外の職務上の権限行使の問題性や善管注意義務違反等について学びました。
紹介料を払う/貰う、値引きをするというのは、通常の商行為では当たり前にしていることです。モノを買う時に「ちょっとマケて」ということは普通にしていると思います。しかし、司法書士の登記業務は独占業務であり、公益性がある仕事です。目先の利益のためにこういったことをしていては、仕事の質の担保が出来ず、国民の権利を保護することは出来ませんし、登記制度の崩壊に繋がるかもしれません。
2日目の倫理研究でも学びましたが、「司法書士は誰の何のために存在するのか」、改めて司法書士の存在意義を考えさせられる内容でした。
倫理事例研究「まとめ」
最後のコマは、これまでの倫理事例研究についてのまとめの講義でした。
最初に、「研修を受ける前と後で、倫理に対する考えがどのように変わったか」「研修を通じてどんなことを感じたか」を、各自発表しました。その後、講師からまとめの解説があり、2日間に渡って実施された倫理事例研究の研修は終了しました。
その後、修了証書は後日自宅に届く旨、欠席した場合は「欠席課題」を提出する必要がある旨などの案内があり、アンケートを提出して、中央新人研修が終了しました。
事前課題でレポートを書いたり、eラーニングを受けたり、平日3日間朝から夕方まで缶詰で研修に参加したりと、中央新人研修は結構ハードな内容でした。でも研修を終えてみて、要件事実の概要を学べたり、改めて「司法書士」の職責や職務の重要性について考えることが出来て良かったなと思います。
以上、オーロラサーモンの「司法書士 中央新人研修 奮闘記」でした!