民法条文解説・語呂合わせ

【民法144条・145条】時効の効力・時効の援用(わかりやすい条文解説)

144条 時効の効力、145条 時効の援用:民法条文解説
ハマチさん
ハマチさん
ハマチです。

こないだ部屋を片付けていたら、見覚えのない漫画本が出てきました。

「はて、こんなの買ったっけ…?」

記憶を辿っていくと、随分前に友達から面白いからとお薦めされて、貸して貰ったものだったことを思い出しました。さほど興味も持てなかったので、いつか読もうと思ってそのままにしていて、返すのをすっかり忘れていました。

借りた後に友達から読んだ感想を求められることもなく、返して欲しいと言われることもなく、数年が過ぎていました。

所謂”カリパク(借りたモノをパクったまま自分のモノにしてしまうこと)”をしているわけですが、返してくれとも言われていないので、貸した方もそんなに思い入れがある本でもないのでは…とも思ってしまいましたが、もちろん借りたものを返さないのは良くないので、気づいてすぐに返しました。

これまでの人生を思い返してみると、本やDVDをお薦めされて借りたけれども興味が無いのでそのままにしておいて、借りたことを忘れて、しばらく経ってから読んだり見たりせずにそのまま返すことが結構ありました。

興味がないならお薦めされた時点で断ればいいのだけれども、「これいいよ!」って友達が話している時は、いいかも?なんてちょっと思って借りるけど、後で冷静になると自発的に読むまでに至らない…。好意で貸してくれた人の気持ちを踏みにじってますね。

結局、かなり時間が経って「読んでいないけど、長い間借りててごめん」て感じで返すことになります。これからは人からお薦めされても興味のないものは借りないようにしようと思います。

のり男
のり男
俺は自分から本などのモノを「貸して」とは言わないようにしてるぜ!どうしても欲しかったら買えばいいですしな。
ハマチさん
ハマチさん
私の場合はカリパクをせずに済んだのですが、気の迷いで「このままに自分のものにしちゃおうかな」と思った時に、自分のものにできてしまうのでしょうか?

テレビやニュースで「時効」という言葉を聞いたことがあると思います。日常生活でも「それはもう時効だよ」なんていう事を言ったり聞いたりすることもあるのではないでしょうか。

こんぶ先生
こんぶ先生
今回はこの「時効」について見ていきたいのですが、時効については沢山紹介したいことがあるので、何回かに分けて紹介していきたいと思います。

時効の主旨

こんぶ先生
こんぶ先生
時効とは、一定の事実状態が一定期間経過すると、真実であるか否かを問わず、権利を取得したりなくしたりすることができる制度です。

時効については144条以下に規定されているのですが、まずは、そもそも時効という制度がなぜあるのか、その主旨を抑えておく必要があります。

時効の主旨は以下になります。

  1. 長期に渡っている事実状態を法律上も尊重することにより、法的安定を図ること
  2. 権利関係の立証の困難を救済すること
  3. 権利の上に眠っている者を保護しない
こんぶ先生
こんぶ先生
AさんがBさんの土地を自分の土地だと信じて何十年とその土地を占有して生活していた事例で考えてみましょう。

Aさんが平穏に生活していたのに、突然Bさんから「土地を返して欲しい」と言われたらビックリしてしまいますね。そこで長期間継続していた事実状態(=Aさんの占有)を重視して、Aさんを法律上も保護するようにしたのが、1番の主旨です。

また、何十年も経ってからBさんが「この土地は自分の土地だ」と主張しても、それが本当にBさんの土地であるのか立証するのはとても困難ですね。(2番の主旨)

もし仮に本当にBさんの土地だったとしても、なぜ何十年もほったらかしにしていたのか、とAさんは言いたくなると思います。何十年の間にBさんはAさんに出て行って欲しい言う機会があったはずなのに、それをしなかったBさんは保護しない、というのが3番の主旨です。

民法144条 時効の効力

144条 時効の効力は、その起算日にさかのぼる。

先の事例で、本当はBさんの土地だったけれども、何十年か経ってからAさんが「これは私の土地だ」というと、その土地はAさんのものになります。しかも、Aさんの土地だと認められるのは、Aさんが「私の土地だ」と言った時からではなく、Aさんがその土地を占有した時(=起算日)からです。

起算日から効力を認めることの実益は、Aさんが「私の土地だ」と言った時からAさんの土地になったとしたら、それまではBさんの土地を不法占拠していたことになり、損害賠償問題になり兼ねません。そこで時効の効力を起算日に遡って認めることにしました。

こんぶ先生
こんぶ先生
これを時効の「遡及効」と言います。

民法145条 時効の援用

145条 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

こんぶ先生
こんぶ先生
時効は一定期間の事実状態で権利を得たり消滅させたりすることですが、一定期間経つと自動的に権利を得たり消滅するわけではありません。
ワカメちゃん
ワカメちゃん
先の事例では、Aさんは「これは私の土地だ」と言わないと、自分の土地にならないのですね。
こんぶ先生
こんぶ先生
そうですね。「これは私の土地だ」ということを、時効の援用と言います。

自動的に取得できたら良さそうにも思えますが、民法には「私的自治の原則」がありますので、当事者の意思を尊重しているのです。

のり男
のり男
「私的自治の原則」は民法の基本原則の一つだな。

問題

それでは問題にチャレンジしてみましょう。

時効の効力には遡及効が認められ、土地を時効取得した場合は占有の時からその権利を取得する。○か×か。


民法144条では、時効の効力は、その起算日にさかのぼるとされていました。遡及効が認められるので、答えは○になります。

穴埋め条文

144条 時効の効力は、その(  ①  )にさかのぼる。
145条 時効は、当事者が(  ②  )しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。


①起算日 ②援用

終わりに

こんぶ先生
こんぶ先生
今回は、時効の効力には遡及効があり、時効は援用しないとその権利の得喪が生じないことを説明しました。
ハマチさん
ハマチさん
冒頭の私の友達から本をカリパクしていた件では、一定期間自分のものにしていても、それを自分のものだと援用しないと自分のものにはならないということですね。
こんぶ先生
こんぶ先生
そうですね。仮に援用して時効が認められれば、その本は初めから自分のものだったことになります。

改正民法では、債権や不法行為に関する消滅時効の規定が変更・新設されています。↓の記事をご参考ください。

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今回はここまでになります。

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