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今回は、働きながら司法書士試験に見事合格されましたオーロラサーモンさん(仮名)から喜びの声が届きましたので紹介したいと思います。
オーロラサーモンさん(37歳)は、10年勤めたIT系企業を退職し、一念発起して司法書士試験合格を目指し、見事4回目で司法書士試験に合格されました。
以下、オーロラサーモンさんのインタビュー記事です。
司法書士試験を目指したきっかけ
私は大学を卒業後、10年程IT系の企業でソフトウェアデザイナーとして働いていました。仕事にも同僚にも恵まれ、小さな不満はあれど、会社には概ね満足して働いていました。
しかし就職してから10年経った頃、今後のキャリアパスについて考えました。私は生涯スペシャリストとして現場でプレイヤーとして働きたいという思いがあったのですが、今の会社にいると、ゼネラリストとして管理職になる道しかないことに気づきました。プレイングマネージャーとして働く道も考えましたが、上の人を見ていると、そういった働き方が出来るような環境ではなかったように思います。
また、組織が大きくなればなるほど、大きな仕事に携わることは出来ましたが、プロジェクトにおける自分の役割が多数のステークホルダーの中の一部のように感じるようになりました。
また、企業勤めをしていると、現時点では定年は60歳、再雇用で働いても65歳までしか働くことはできません。平均寿命まで生きたとしたら、定年後の人生はとても長いものです。ソフトウェア開発という仕事は、定年後に出来る仕事ではないように思いました。「生涯現役で、小さな仕事でも初めから最後まで携われる仕事がしたい」そう思うようになりました。
そんな思いの中、これまでの人生を振り返り、ふと大学生の時に宅建士の試験に合格した後に、少し司法書士試験の勉強をしていたことを思い出しました。当時は、司法書士になりたいという強い思いはなく、世間一般に就職活動をして一般企業に勤めることを選んだので、就職活動を始めると同時に試験勉強はやめてしまいました。でもどこかで途中で勉強を諦めたことが頭の中にひっかかっていました。
司法書士試験は難関国家資格です。これまで受験勉強でも資格や昇格試験の勉強でも、真剣に勉強に取り組んだことがありませんでした。真剣に勉強することは、これまでの人生でやり残したことだという気持ちもあったので、これを機会に勉強をもう一度やろうと思いました。その対象が司法書士試験の勉強でした。
改めて司法書士について調べてみると、「開業すれば一生涯の仕事として働けること」「難関国家資格なので、参入障壁が高いこと」「登記業務は資格者だけが出来る独占業務であること」「登記業務にとどまらず、後見や信託等、業務の幅が広がっていること」「お客様の顔が直接見えて、一人でも最初から最後までこなせる仕事であること」「知識や情報を武器にする仕事なので、在庫コスト等を抱えることなく出来る仕事であること」等、自分の理想とする働き方が出来る資格であることが分かりました。
合格までの道のり
1年目
司法書士試験は難関資格であることは分かっていたので、独学で勉強する選択肢はなく、予備校へ通うことを即決しました。1年目はIT系企業に勤めていて、残業や休日出勤は当たり前でした。仕事帰りや休日に予備校に行ってライブ講義を受けるのは難しいと思ったので、1年目は予備校の講義をインターネット受講していました。
仕事をしながらの講義の視聴は大変でしたが、なんとか受講期間内にすべての講義を視聴することが出来ました。でも講義を聴き終えることが目的になってしまって、内容を理解することなく「ただ見ただけ」という感じで1年目は終わってしまいました。
講義の内容はとても難しかったけど、1年目に予備校の講義を受けていた時に、分からないなりにも「法律の勉強は面白い」と感じていました。「司法書士試験に合格して司法書士になろう」と思うようになりました。
そう思うようになり、会社を退職して、2年目は専業受験生として勉強をすることにしました。
2年目
2年目は専業受験生として勉強だけの生活をしていました。朝起きて予備校の自習室に行き、講義のある日は講義を受け、講義が無い日は予備校の自習室が閉まるまで勉強していました。
基本的には、「講義を受けて、テキストで復習して、過去問を解く」ことを繰り返していました。専業受験生で時間があったので、一つ一つの論点を丁寧に潰していくような勉強をしていました。
「1年間も勉強だけの生活をしたのだから、今年は絶対に受かる」という気持ちで試験に臨んだのですが、この年は不合格でした。
3年目
1年間の専業受験生活で大体のことはインプットもアウトプットも出来ているという感覚があったので、3年目は司法書士事務所で補助者として働きながら勉強することにしました。1年間の専業受験生活でお金も無くなってきたので、働いて収入を得ないといけなかったのも兼業を選んだ理由の一つです。
補助者の仕事は全くの未経験だったので、仕事に慣れて、勉強をするペースを掴むまでが大変でした。働き始めた頃は、精神的にも肉体的にも疲れていて、勉強しない日もありました。直前期に入る前にようやく仕事にも慣れ、毎日勉強できるようになりましたが、絶対的な勉強不足で3年目も不合格でした。
4年目
3回目の不合格が確定した後に、これまでの自分がしてきた勉強方法を振り返って、そう思いました。私は元々、問題を解いて理解を深めていくアウトプット型の勉強が得意なのに、合格者の合格体験記を読むとテキストを読んで理解していくインプット型の勉強をしている人が多く感じたので、自分もインプット型の勉強をしないといけないと思って、3年目までテキスト中心の勉強をしていました。
そう思って、4年目はこれまでしてきたインプット型の勉強をやめて、来る日も来る日もひたすら過去問を解くアウトプット型の勉強に変えました。そうすることで、日が経つにつれ、自分が成長している実感を持つことが出来ました。直前期に入る頃には、「今年は間違いなく受かる」と思うようになりました。そして、その思いの通りに今年は合格することが出来ました。
合格年に使用したテキスト、問題集
択一式過去問はLECの「合格ゾーン」
合格した年に使っていた択一の問題集は、『合格ゾーン』です。
不合格だった3年目までは、山本先生のオートマを使ていました。オートマはAランクの問題がコンパクトにまとまっていて、基本を押さえるのには大変良い本だと思います。オートマを完璧にして、現場での思考力をプラスしたら基準点は超えると思います。実際に2年目、3年目は過去問はオートマ解くだけで午前・午後とも基準点を超えることが出来ました。
でも、オートマを「完璧」にすることは自分には難しかったです。
と、方針転換をしました。『合格ゾーン』は、過去30年程の過去問がほぼ全て収録されています。発売されている他の過去問に比べて、問題の収録量は圧倒的に多いと思います。合格した4年目は、毎日『合格ゾーン』を解いていました。
記述式対策は「オートマ」
合格した今年4年目は、記述式対策の問題集は、『司法書士 山本浩司のautoma system 不動産登記法 記述式(オートマ)』を使っていました。
1年目・2年目はオートマ、3年目は予備校の講義についてきた小問題集を主に使っていましたが、4年目はまたオートマに戻ってきました。
と思い、4年目は再び『オートマ』を使いました。”良い意味で意地悪”というのは、短い問題文の中に見落としがちな記載が散りばめられていて、相当な注意力を以って問題を解かないと正解できない問題が多いという印象からです。『オートマ』を解くことで、相当な注意力を培うことが出来ました。
勉強場所
勉強場所は、1・3・4年目(兼業)は主に自宅、2年目(専業)は主に予備校の自習室か有料自習室で勉強していました。
勉強時間
今年は1日5時間勉強することを目安にしていました。ざっくりと、早めに出勤して始業時刻になる前に1時間、仕事が終わって帰宅してから4時間という感じです。
朝は、記述式問題を1時間で2問(不登法1問、商登法1問)を解いていました。オートマは1問の記載量がそこまで多くないので、2問解いて解説を読むのに1時間でちょうどいい時間でした。始業時刻という終わりの時間が決まっていたので、集中して問題を解いて、解説も読めたので、毎日ルーティン的に朝に記述の問題を解くのは、振り返ってみても良い勉強習慣だったと思います。
夜は、基本的には残業の無い事務所だったので、仕事から帰って、ご飯を食べて少しだけゆっくりしてから、大体4時間を目安に勉強しました。”目安”というのは、必ずしも毎日4時間出来ているわけではなかったからです。疲れている日は1時間くらいしか勉強しない日もありました。でも、そういった日でも、勉強時間が取れなかったからといって落ち込むことはなく、「今日出来なかった分は明日か週末にやろう」という気持ちで淡々と取り組んでいました。
試験の直前や当日は、どんな感じ?
今年は、試験日に照準を合わせてやることはやりきったと心から思えていたので、直前期に精神的に不安定になったり焦ったりすることはありませんでした。本試験当日も、概ね落ち着いて問題を解けたと思います。
試験が終わってすぐに自己採点をしました。自己採点が終わった時点で合格を確信することが出来ました。
合格発表の時は、どんな感じ?
合格発表はネットで見ることにしていました。朝からソワソワしていて、仕事中も気がソゾロでした。4時になって法務省のサイトを開き、自分の番号を見つけた時の感想は、喜びよりも「ホッとした」という安心感の方が大きかったように思います。
喜びの実感は、家族や友人に報告して、お祝いの言葉を貰った時からじわじわと感じ出しました。支えてくれた回りの人達が、本当に自分のことのように喜んでくれたことが、とても嬉しかったです。「頑張って良かった」と心から思いました。
これから司法書士試験の合格を目指す方へ
司法書士試験は、難関試験です。試験範囲は膨大で、科目数も多いし、記述式もあります。合格率は3~4%です。生半可な気持ちでは合格することは難しいと思います。
でも、諦めずに努力を続けて勉強をすれば、必ず合格できる試験だと思います。私は遠回りして4年かかってしまいましたが、私のような凡人でも、時間をかければ合格をすることができました。頑張ってください!
インタビューを終えて
今回は、働きながら司法書士試験に見事合格されましたオーロラサーモンさんの合格体験記を紹介しました。
のり男の合格体験記シリーズでは、これからも色々な立場で資格試験に合格した方の体験記を紹介していきます。
2021年版 司法書士 合格ゾーン 択一式過去問題集 4 不動産登記法[上] (司法書士合格ゾーンシリーズ)
司法書士試験合格者”サメ肌さん”(兼業・予備校・10回目で合格)
司法書士試験合格者”イルカさん”(兼業・予備校・2回目で合格)
司法書士試験合格者”クリオネさん”(兼業・予備校・3回目で合格)
司法書士試験合格者”オーロラサーモンさん”(兼業・予備校・4回目で合格) ←今ココ!