【民法９９条】代理行為の要件及び効果(わかりやすい条文解説)

こんぶ先生

今回は、民法９９条の代理行為の要件及び効果について解説します！

民法第９９条 代理行為の要件及び効果

民法第99条
１　代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
２　前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。

民法９９条から１１８条まで、「代理」について規定がされています。

こんぶ先生

各種法律系の資格試験において、「代理」に関する内容は、民法総則の中でも特に出題頻度の高い内容です。しっかりと学習していきましょう。

まず、代理の問題を考える時は、「本人」「代理人」「相手方」という三者が登場することをイメージすることが大切です。

事例問題を解くときは、上の関係図のように、「本人を上に、代理人を本人の下に、相手方を代理人の横に」書き、この三角形の関係性をイメージすると良いと思います。

代理の要件は、以下の３つです。

1. 代理権の存在
2. 顕名
3. 代理権の範囲内の代理行為

まず、本人の代理人であると言うためには、正当な代理人であると言えるための資格が必要です。本人からお願いされて代理人となる「任意代理人」であっても、法律上当然に代理権が発生する「法定代理人」であっても、代理権の存在があることが大前提です。

そして代理人は、本人のために代理行為をすることを示す(=顕名)必要があります。ここでいう「本人のために」とは、本人の利益を図る意思ではなく、本人に効果を帰属させようとする意思です。

そして、代理人が代理権の範囲で代理行為をした場合、その代理行為の効果は、本人に直接帰属することになります。

例えば、本人Aが代理人Bに「Cさんから時計を買って来て」とお願い（＝①代理権の存在）して、代理人Bが本人Aさんのために買うことを示して（＝②顕名）相手方Cさんから時計を購入した場合（③＝代理行為）、売買契約を直接したのは代理人Bさんと相手方Cさんですが、売買契約の効果は本人Aさんと相手方Cさんの間に帰属し、代理人Bさんには売買契約の効果は何ら帰属しません。これが民法第９９条第１項で規定されている代理行為の要件と効果の例です。

こんぶ先生

代理人には法律効果は何ら帰属せず、代理人がした行為の効果は本人に直接帰属します。代理行為がきちんとされていた場合、代理人Bさんが時計を買っても、その時計はAさんのものです。代理人に法律効果が帰属してしまったら、何のための代理制度なのか分からなくなりますね。

民法９９条の規定は、これ以降の代理に関する条文を学ぶ際の基本になります。ソラで言えるくらいにまで、しっかりと覚えておきましょう。

民法９9条 代理行為の要件及び効果に関する過去問

（オリジナル問題）代理人Ａが、本人Ｂの名を示さず相手方Ｃと売買契約を締結した場合にでも、売買契約は本人Aと相手方Ｃ間で成立する。

こんぶ先生

問題の例では、代理人Aが本人Bのためにすることを示さずに売買契約を締結しています。代理行為には顕名が必要です。顕名がない場合は、本人にその法律行為の効果が帰属しません。よって答えは×です。

問題（穴埋め条文）

民法第99条
１　代理人がその権限内において（　①　）することを示してした意思表示は、（　②　）直接にその効力を生ずる。
２　前項の規定は、（　③　）が代理人に対してした意思表示について準用する。

こんぶ先生

今回は、民法９９条の代理行為の要件及び効果について解説しました。

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