民法条文解説・語呂合わせ

【民法3,886,965,721,30,31条】権利能力・胎児の例外・失踪宣告(わかりやすい条文解説)

3条権利能力他、条文解説
こんぶ先生
こんぶ先生
私たち人間を自然人といいます。(会社は法人といいます。)
ワカメちゃん
ワカメちゃん
自然人は誰でも権利能力を有していますよね。
こんぶ先生
こんぶ先生
そうですね。権利能力とは、私法上の権利義務の帰属主体となることができる資格のことでしたね。
のり男
のり男
すべての人は、権利能力を平等に有しているんだよな。
こんぶ先生
こんぶ先生
そうですね。そのことを「権利能力平等の原則」と言うのでしたね。

では権利能力を定めた民法3条をみてみましょう。

民法3条 権利能力

3条 第1項 私権の享有は、出生に始まる。

3条 第2項 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。

こんぶ先生
こんぶ先生
第一項で、権利能力は出生の時としています。出生とは、胎児が生まれてこの世に人として存在することです。
ワカメちゃん
ワカメちゃん
これによると、懐胎後、まだ生まれる前の胎児は、権利能力を有しないことになりますね。

人間感情としては、胎児も人だとしたいところです。最近はエコーで胎児の成長をリアルに見ることもできるので、親としては胎児も人だと思うのは当然のことだと思います。

しかし民法の通説では、人が権利能力を有するのは胎児が母体から全部露出した時だとし、胎児に権利能力を認めていません。

のり男
のり男
全部露出説ってやつだな。

しかし、全く胎児に全く権利能力を認めないとすると、不都合なことが生ずることがあります。

不都合なこととは、

  • 相続(民法886条)
  • 遺贈(民法965条・886条)
  • 不法行為に基づく損害賠償(721条)

が発生するときです。

そこで民法では、この3つに関しては、胎児にも権利能力を認めています。

民法886条 相続に関する胎児の権利能力

886条 第1項 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。

第2項 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

ワカメちゃん
ワカメちゃん
きっちりと第一項に相続については既に生まれたものとみなす、と書いていますね。
こんぶ先生
こんぶ先生
そうですね。生まれたものとみなす=自然人になりますので、当然に権利能力を有することになります。

これにより、例えば、父A、母B、母のおなかにいる胎児Cがいる場合、胎児が生まれる前に父親が亡くなっても、胎児Cは父の遺産を相続できることになります。ただし、胎児Cが死産の場合は、相続はできません。

民法965条 遺贈に関する胎児の権利能力

965条 第1項 第886条及び第891条の規定は、受遺者について準用する。

886条は相続の条文ですね。(891条は相続人の欠格事由に関する条文です。)

胎児が相続人になれるのと同様に、遺贈においては、胎児が受遺者となることができます。

民法721条 不法行為に基づく損害賠償に関する胎児の権利能力

721条 胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。

条文だけ読むと、損害賠償請求権について、胎児は当然に行使できるようにも思いますが、胎児が単独で損害賠償を請求するということはありえませんので、実際には、父親や母親が損害賠償を請求することになります。

こんぶ先生
こんぶ先生
法定代理人である父親や母親は無条件に損害賠償権を行使することができるのでしょうか?
ワカメちゃん
ワカメちゃん
判例は、「胎児のままでは権利能力はなく、生きて生まれれば遡って権利能力を取得する」としています(=停止条件説)。
のり男
のり男
つまり、胎児が生きて生まれるまでは、父親や母親は、胎児の損害賠償権を代理行使はできないってことだな。

権利能力の終期

人は出生したら権利能力を有することは、民法3条に規定されていました。

こんぶ先生
こんぶ先生
では、権利能力が終了するのはいつでしょうか?

民法では直接的には条文で規定していませんが、

  1. 死亡した時
  2. 失踪宣告(民法30条、31条)を受けた時

に権利能力が消滅すると解されています。

問題

それでは問題にチャレンジしてみましょう。

権利能力は出生の時に当然に有する。出生とは、民法上は母体から胎児が全部露出した時とされているが、出生前の胎児にも権利能力が認められる場合が3つある。それを挙げよ。


前提として、胎児には権利能力は認められていませんでしたね。
ただし、相続(民法886条)、遺贈(民法965条・886条)、不法行為に基づく損害賠償(721条)については、胎児にも権利能力は認められます。答えは、「相続」「遺贈」「不法行為に基づく損害賠償」の3つです。

まとめ

今回のポイントは、次の2点です。

  1. 自然人であれば誰にでも権利能力を有する。
  2. 胎児には権利能力はないが、例外的に「相続」「遺贈」「不法行為に基づく損害賠償」については権利能力を有する。
こんぶ先生
こんぶ先生
余談ですが、刑法では、全部露出説ではなく、一部露出説をとっています。
ワカメちゃん
ワカメちゃん
一部でも母体から露出していると胎児に危害を加えることができますもんね。
のり男
のり男
民法と刑法で胎児の扱いが違うのは面白いですね。
こんぶ先生
こんぶ先生
そうですね。(資格試験などではそういった違いに苦しむこともあるのですが、言わないでおきましょう…)

今回はここまでになります。

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