民法6条 未成年の営業の許可とは?
第6条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2 前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
民法第6条1項では、「一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。」と規定されています。一種又は数種の営業とは、例えば、未成年者が八百屋を、又は八百屋と文房具屋を営む場合のことを言います。
未成年者が八百屋さんをすることを許可された時には、「成年者と同一の行為能力を有する」とされているので、未成年者であっても、成年者と同様に、単独で法律行為(野菜の売買)をすることができるようになります。
この許可は、その営業単位で許可することが必要です。例えば、八百屋さんの中の1部の行為だけを許可したり、営業の種類を決めずに、未成年者のする営業全てを許可するといったことはできません。
未成年者が単独で法律行為をすることが出来るようになると、法定代理人の同意は不要になります。その範囲で、法定代理人の代理権も消滅します。
ただし、同条第2項において、「未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。」とされています。
なお、条文の規定では、「取り消し」となっていますが、この取り消しには遡及効(=遡って効力がなかったことになること)はありません。もし遡及効があると、取消前の取引が全て無効になってしまうことになり、取引に混乱を生ずるためです。ここでいう取消は、将来に向かってのみその効力が生じる撤回の意味です。また、この取り消しは、善意の第三者にも対抗できるとされています。
また、「制限する」とは、数個の営業のうち、そのうちの一個又は数個の営業を制限するという意味であり、一個の営業の中の特定の行為を制限することはできません。例えば、八百屋と文房具屋さんのうち、八百屋さんを制限することです。八百屋さんの中で、キャベツだけ仕入れを制限するといったようなことは出来ません。
未成年者が商法上の営業を営むことについては登記が必要です。また、営業の許可の取消・制限についても同様に、その旨の登記をすることが必要です。登記がないと、善意の第三者に対抗することが出来ません。
問題(穴埋め条文)
第6条 ( ① )の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2 前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を( ② )、又はこれを( ③ )することができる。
①一種又は数種 ②取り消し ③制限
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