前回は、司法書士試験の勉強に有用な択一式問題の過去問題集を紹介しました。今回は、記述式試験の対策に有用な問題集を2つ紹介します。
司法書士試験に合格するには、択一式試験で基準点を突破し、記述式試験でも基準点を突破した上で、総合合格点に達する必要があります。択一式試験でどんなに点数が良くても、記述式試験の対策を怠って記述式試験で基準点を下回ると不合格になります。司法書士試験においては、択一式試験と記述式試験の対策をバランスよくこなすことが必要になってきます。
とは言っても、択一式の問題に比べて、記述式の問題は1問を解くのに時間がかかります。ただでさえ時間のない受験生にとって、記述式試験の対策をいかに効率よくしていくかが合格するカギになります。記述式試験対策の問題集選びも重要になってきます。数ある問題集の中から、私がお薦めしたい2つの記述式の問題集をご紹介します。
山本浩司のautoma system 記述式
『司法書士 山本浩司のautoma system 記述式』は、択一式過去問と同じく『オートマ記述』という略称で受験生に支持されている本です。
『オートマ記述』は、「不動産登記法」と「商業登記法」の2冊が発売されています。
不動産登記法には、”基本の部”と”応用の部”があり、基本的な論点から段階を踏んで応用的な論点へと学習を進めることが出来ます。
短い設問と数個のひな型の解答でコンパクトに1問がまとめられているので、1問を解くのにさほど時間がかからずに、効率良く頻出論点を学ぶことが出来ます。コンパクトにまとめられているとは言っても、その中に合格に必要なエッセンスが凝縮しているので、『オートマ記述』を繰り返し解いていくことで、合格するのに十分な力をつけることができます。
不動産登記法が1問1問がコンパクトな問題なのに比べて、商業登記法は1問1問が本試験に近い形で出題されています。しかし”基本編” “応用編” “実戦編”に分かれているので、基本をしっかり理解してから応用問題を解くことが出来ます。
商業登記法は、会社形態の把握を間違えてしまうと、連鎖的に失点につながってしまいます。『オートマ記述』の問題は、「今、会社がどのような状態にあるか?」を常に意識させながら解答するように工夫されています。
また『オートマ記述』では、役員変更等の頻出論点は繰り返し何度も出題方式を変えて出題されますので、『オートマ記述』を繰り返し解くだけで、頻出論点を確実に理解することができます。
司法書士 山本浩司のautoma system 不動産登記法 記述式 第9版 (W(WASEDA)セミナー 司法書士)
LEC 合格ゾーン
『オートマ記述』で、記述式問題を解ける実力は十分に身につけることができます。ただ、記述式試験の出題形式は本試験独特の”クセ”がありますから、記述式の過去問を解くことをお勧めします。
『合格ゾーン』の記述式過去問題集には、直近過去10年の問題が収録されています。もちろん、法改正にも対応しています。解説ページでは、詳細だけど図表等を用いてコンパクトに分かりやすく解説がされています。本試験のシミュレーションが出来るように、再現された解答用紙も収録されています。
記述式の過去問は、できれば直近10年分、少なくとも直近5年分を解くと良いでしょう。裏を返せば、本試験をシミュレーションする意味では、それ以前の過去問は解く必要はありません。なぜなら、記述式問題は近年明らかに出題形式が変わっているためです。特に不動産登記法では、問題の長文化、記載量の増大が顕著です。平成30年度の試験では、ややボリュームは減りましたが、10年以上前の出題傾向とは全く異なります。
2021年版 司法書士 合格ゾーン 記述式過去問題集 10 不動産登記法 (司法書士合格ゾーンシリーズ)