今回は民法1条「公共の福祉、信義則、権利濫用の禁止」についてです。
民法1条 公共の福祉 信義則 権利濫用の禁止
1条 第1項 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
本来であれば、自らの権利は自由に行使できるはずです。
しかし、自分の権利の行使を優先するがあまり、社会的に反することまでを許してしまうと社会は無秩序な状態となり、かえって個々の権利を侵害する恐れがあります。
そこで、1項では公共の福祉に適合しなければいけないとしています。
第2項 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
信義に従い誠実に行う=信義誠実の原則=「信義則」と呼ばれるものです。
信義則とは、社会生活を営む上で一般的に求められる信頼を裏切らないように、相互に誠意をもって行動することです。
信義則に関連する知識として、以下の3つの原則があります。
①禁反言の法則
平たく言うと、「言動に反したことを言ったり、やったりしてはいけない」という原則です。
②クリーンハンズの原則
「不法行為をした人は保護しない」という原則です。法に保護されるためには、法を尊重しなければならず、法を侵してはいけません。
③権利失効の原則
「権利を行使できるのに、長い間ほうっておいた人は権利が行使できなくなる」という原則です。
第3項 権利の濫用は、これを許さない。
表面上は正当な権利を行使しているように見えても、それが社会的に見て社会性に反するような行為をしているときには、その権利の行使は認められません。
間違っていることをしているとは必ずしも言えないけど、社会的に見てそれはちょっとどうなの?と思われる時に、権利濫用の禁止が適用されます。
以上、民法1条には、民法の基本原則(一般条項)が定められています。
1条は一般条項ですので、むやみやたらに使ってはいけません。裁判においては、民法の他の条文で救済が不可能な時に、最後の手段として使われます。
問題(穴埋め条文)
1条第1項 私権は、( ① )に適合しなければならない。
第2項 権利の行使及び義務の履行は、( ② )に従い( ③ )に行わなければならない。
第3項 ( ④ )は、これを許さない。
①公共の福祉 ②信義 ③誠実 ④権利の濫用
まとめ
今回はここまでになります。
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