成年後見人である専門職が、業務上横領容疑などの疑いで事情聴取されるといったニュースをたまに耳にします。
後見人の担い手不足解消のために、市民後見人の養成研修をする自治体もあります。
高齢社会の現代日本においては、後見人不足を解消するためには有効な取り組みだと思いますが、前述のような事件が起こらないためにも、知識や技術だけでなく、人間性も加味した総合的な人材育成をしていただきたいですね。
では、そもそも後見の開始はどのようにして行われるのでしょうか。
民法7条 後見開始の審判
7条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
民法7条では、成年後見を開始するための要件について規定しています。
事理を弁識する能力とは、おおまかには”意思能力”をさします。意思能力とは、自らがした行為の結果を判断することができる精神的能力のことを言います。
意思無能力者は、ものごとを正常に判断できませんので、単独で法律行為を行うと不測の損害を被る恐れがあります。
そこで、意思無能力者を保護するために設けられたのが、成年後見の制度です。
例えば、認知症の方、重度の知的障害・精神障害を持つ方に、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求によって、後見開始の審判を開始することができます。
後見開始の審判で後見を受ける人を「成年被後見人」、後見をする人を「成年後見人」と呼びます。
成年被後見人が単独でした法律行為は無効となります。成年後見人には同意権がありませんので、たとえ成年後見人の同意を得てした行為であっても無効です。
ここで、「事理を弁識する能力を欠く」とありますが、「未成年後見人」「未成年後見監督人」も家庭裁判所に審判の請求ができることには注意が必要です。
未成年者は必ずしも意思無能力者ではありませんが、未成年であるあいだに適切な保護を行い、未成年者が成人したときにスムーズに(元)未成年が財産管理を行えるようにする意図があります。
穴埋め条文問題
7条 精神上の障害により事理を弁識する能力を( ① )常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、( ② )、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は( ③ )の請求により、後見開始の( ④ )をすることができる。
①欠く ②四親等内の親族 ③検察官 ④審判
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