今回は、先取特権の順位についてのゴロ合わせを紹介します。
先取特権とは?
民法303条 先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
先取特権とは、簡単にいうと、「ある一定の条件下で、債権者が自分の債権を、他の債権者に先立って回収することができる権利」のことを言います。
α会社が倒産した当時、B会社とC会社がα会社に対して貸金債権をもっていました。Aさんはα会社に勤めていましたので、α会社に対して給料支払請求権(給料債権)をもっています。債権者平等の原則に則ると、AさんとB会社とC会社は債権額の割合に応じて弁済をうけることになります。しかし、債権者平等の原則を貫くと、B会社とC会社が持つ貸金債権に比べてAさんの給料債権は少額であることが多く、Aさんは微々たる額しか弁済を受けられなくなります。
先取特権の順位
先取特権は、「一般の先取特権(306条)」「動産の先取特権(311条)」「不動産の先取特権(325条)」の3つに分類されます。
この分類は、優先弁済を受けられる権利の目的となる物の種類に応じて分けられています。例えば、不動産の賃貸人は、賃料不払いの時に、賃借人の部屋にある動産について先取特権が成立します。優先弁済を受けられる権利は賃料、目的となる物の種類は動産ですので、不動産賃貸の先取特権は、動産の先取特権に分類されます。
一般の先取特権の順位『今日こそ日曜』
一般の先取特権には、「①共益の費用」「②雇用関係」「⓷葬式の費用」「④日用品の供給」の4つがあります。
「①共益の費用」は各債権者の共同の利益のためにされた行為に関する費用、「②雇用関係」は給料債権等、「⓷葬式の費用」はそのまま葬式の費用「④日用品の供給」は債務者への飲食代金請求権等です。
「①共益の費用」 > 「②雇用関係」 > 「⓷葬式の費用」 > 「④日用品の供給」の順に、債権者は先取特権に基づいて優先弁済を受けることができます。
一般の先取特権の優先弁済権の順位は、それぞれの頭文字をとって「今日こそ日曜」と覚えます。
動産の先取特権の順位『チンポの売買』
動産の先取特権には、主なものとして「①不動産賃貸」「②動産保存」「⓷動産売買」の3つがあります。(この他にも農業労務の先取特権等がありますが、資格試験においては重要度が低いので割愛します。)
「①不動産賃貸」は不動産の賃料債権、「②動産保存」は動産の保存(ex.修理)のための費用、「⓷動産売買」は動産の売買代金等です。
「①不動産賃貸」 > 「②動産保存」 > 「⓷動産売買」の順に、債権者は先取特権に基づいて優先弁済を受けることができます。
動産の先取特権の優先弁済権の順位は、それぞれから一文字をとって「チンポの売買」と覚えます。
不動産の先取特権の順位『ホコウバイ』
不動産の先取特権には、主なものとして「①不動産保存」「②不動産工事」「⓷不動産売買」の3つがあります。
「①不動産保存」は不動産の動産の保存(ex.修繕)のための費用、「②不動産工事」は不動産の工事代金(ex.リフォームや増築等の費用)、「⓷不動産売買」は不動産の売買代金等です。
「①不動産保存」 > 「②不動産工事」 > 「⓷不動産売買」の順に、債権者は先取特権に基づいて優先弁済を受けることができます。
不動産の先取特権の優先弁済権の順位は、それぞれから一文字をとって「ホコウバイ(保・工・売)」と覚えます。
おわりに
先取特権は、学習したての頃はイメージしにくい担保物権のうちのひとつです。
このページで先取特権のおおまかな概要をつかみ、先にゴロ合わせで先取特権にはどのようなものがあるかを把握しておくことで、先取特権の詳細な内容を学習する際の手助けになると思います。
予備試験ブログまとめサイト