「酒の席では無礼講!」なんてことを言いますが、酔っぱらって気が大きくなってとんでもないことを言い出す人もいるかと思います。
それにつけこんで、例えば「100万くれよ」「やるやる」と言った契約は有効に成立するのでしょうか?
権利能力があれば法律行為が全て有効になるわけではなく、法律行為が有効に成立するには意思能力も必要になります。
自由意思が尊重される民法の原則から考えると、法律行為が成立する前提として意思能力が求められることは当然であると解されています。
年齢的なことでいうと、一般的には10歳くらいで意思能力を有すると言われてはいますが、 これも明確に「○才から意思能力が備わる」と条文に明記されているわけではないので個別判断となります。
成年であれば原則として意思能力を有するとされていますが、成年でも認知症の方には意思能力は認められないので、高齢者と契約する場合は、意思能力の有無には注意が必要です。
改正民法
改正民法では、次のように意思能力の条文が創設されました。
第二節 意思能力
第3条の2
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
<新設>
【附則】
(意思能力に関する経過措置)
第2条
この法律による改正後の民法(以下「新法」という。)第三条の二の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前にされた意思表示については、適用しない。
現在日本は超高齢社会に突入し、認知症の方も増えていることから、意思能力が条文で規定されたことは、とても有益なことであると思います。
問題
それでは問題にチャレンジしてみましょう。
権利能力を有する者は、当然に意思能力を有する。○か×か。
権利能力は自然人であれば当然に有しますが、意思能力は有効に意思表示ができないといけないので、たとえば酩酊状態の者や認知症の高齢者、また就学前の児童や精神喪失者には意思能力はないとされています。ですので答えは×になります。
もう一問いってみましょう。
意思能力を有しない者とした契約は無効である。○か×か。
契約自由の原則の前提として、意思能力を有することが必要ですので、意思能力を欠く者との契約は無効です。答えは○です。
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