Aは,Bに対し,返還の時期を平成18年11月1日として,金銭を貸し付けた。この消費貸借契約に基づくAの貸金債権(以下「本件貸金債権」という。)の消滅時効に関する次の記述は,判例の趣旨に照らし正しいか。(改)
Bは,平成27年6月1日,本件貸金債権に係る債務の一部の弁済をした。BとCは,同年7月1日,Aを害することを知りながら,Bの唯一の財産である土地について贈与契約を締結し,Cへの所有権の移転の登記がされた。それを知ったAは,平成28年12月1日,当該贈与契約の取消しを求める詐害行為取消請求訴訟を提起した。この場合,Cは,同月20日に本件貸金債権の消滅時効を援用することができない。
〈正解〉
○
のり男
Cのことを詐害行為の受益者って言うんだったよな。
こんぶ先生
そうですね。前提として詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の債権について、消滅時効を援用できるのでしたね。
ワカメちゃん
この場合はなぜ受益者Cは援用できないのでしょうか?
こんぶ先生
Bは債務の一部弁済をしています。これが債務の承認にあたるため、平成28年12月20には消滅時効が完成していないからです。
〈参考条文〉
【424】債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
Ⅱ 前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。
【147③】時効は、次に掲げる事由によって中断する。
① 請求
② 差押え、仮差押え又は仮処分
③ 承認
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